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佐伯 正克
第5版実験化学講座22; 金属錯体・遷移金属クラスター, p.200 - 209, 2004/03
第5版・実験化学講座・第22巻「金属錯体・クラスター」の2章24節「希土類金属(アクチニド)錯体」に対して依頼された原稿である。内容は、アクチニド元素の錯体合成に対する一般的注意,6種類のウラン6価の錯体の合成法及びその性質,二酸化ネプツニウムからのネプツニウム5及び6価貯蔵液の調整法,11種類のネプツニウム5価錯体及び1種類の7価錯体の合成法及びその性質に対する解説である。
有阪 真*; 木村 貴海; 菅沼 英夫*; 吉田 善行
Radiochimica Acta, 89(8), p.593 - 598, 2001/08
被引用回数:11 パーセンタイル:61.93(Chemistry, Inorganic & Nuclear)f元素の陽イオン交換挙動におけるアルコールの役割について調べた。発光寿命測定による溶液及び樹脂中におけるM(III)[M=Eu, Cm]の内部水和数の決定、並びにそれらの分配係数の測定により、第1配位圏の水和状態と分配係数との相関について検討した。メタノール添加により、M(III)は溶液中の塩化物イオンに比べ樹脂中のスルホン基とより強く相互作用し、その結果、分配係数が増大することを明らかにした。
Brchle, W.*; Andrassy, M.*; Angert, R.*; Eberhardt, K.*; Fricke, B.*; Gregorich, K. E.*; Gnther, R.*; Hartmann, W.*; Heimann, R.*; Hoffman, D. C.*; et al.
1st International Conference on the Chemistry and Physics of the Transactinide Elements; Extended Abstracts, 4 Pages, 1999/00
化合物イオンが金属イオンの酸化状態に大きく依存することで知られている-HIB(-イソブチル酢酸)とシーボーギウム(Sg)化合物の陽イオン交換挙動を調べた。オンライン実験は、Cm+Ne反応で生成するSg(Sg)を対象に行い、6価イオンに対応する溶離液中にSgの壊変に起因する数イベントの線を確認した。これはSgの-HIB溶液中での陽イオン交換挙動が、6族の性質すなわち[SgL](L:(CH)COHCOO)の化学形を形成していることを示唆している。
木村 貴海; 加藤 義春; 武石 秀世; 高橋 嘉夫*; 薬袋 佳孝*; Choppin, G. R.*
Proceedings of OECD/NEA Workshop on Evaluation of Speciation Technology, p.61 - 81, 1999/00
金属イオンの第1水和圏内の水分子数(内部水和数N)は、化学種の配位環境に関する分子レベルの情報を提供する。時間分解発光法を用いてIII価アクチノイドAn(III)[An=Am,Cm]及びランタノイドLn(III)[Ln=Nd,Sm,Eu,Tb,Dy]の発光寿命とHの相関を系統的に研究した。DO-HO混合溶液中のHOの濃度と1/の比例関係及びHO中におけるNの値から、測定によるHO評価のための相関関係を提案した。これらの関係をポリアミノポリカルボン酸錯体中のAn(III)とLn(III)の水和状態、陽イオン交換樹脂へのCm(III)とEu(III)の分離挙動、及びシリカ、粘土鉱物へのEu(III)の吸着挙動の研究に適用し、上記の方法が種々の環境におけるAn(III)及びLn(III)の化学種の解明に有効な手段であることを実証した。
木村 貴海; 加藤 義春; 武石 秀世; G.R.Choppin*
Journal of Alloys and Compounds, 271-273, p.719 - 722, 1998/00
被引用回数:48 パーセンタイル:88.86(Chemistry, Physical)III価アクチノイド、ランタノイドの分離は、高濃度塩素系での陽イオン交換で可能であるが、硝酸系や過塩素酸系では不可能である。媒質中での分離機構の違いは、吸着種の分子レベルでは明らかではない。これまで、時間分解蛍光法によるCm(III)及びEu(III)の内部水和数Nの決定法を報告してきた。本報では、この方法を固液界面でのこれらイオンの水和状態の研究に適用した。陽イオン交換樹脂AGWX8を試用し、トレーサーによる分配計数K,ならびに酸溶液及び樹脂/溶液界面におけるNを測定した。5M以上の塩酸溶液中でCm(III)とEu(III)のK及びNに違いがみられた:K(Eu)K(Cm),N(Eu)N(Cm)。これは、Eu(III)よりCm(III)がクロロ錯体形成が強いことによる。高濃度塩酸中で樹脂上のイオンの内圏から約3-4の水分子が排除されていた。硝酸、過塩素酸溶液での結果も併せて報告する。
塚田 和明
化学と工業, 51(4), P. 615, 1998/00
現在、超アクチノイド元素は112番元素まで確認され、104番及び105番元素では化学的性質が調べられてきた。最近、ヨーロッパの核化学研究グループを中心とした国際的協力研究で、106番元素(シーボーギウム)の化学的挙動が初めて調べられた。その結果、シーボーギウムが周期表の6族の性質を示すことが明らかになった。ここでは、そのような106番元素の化学的性質に関する研究について紹介する。
杉原 陽一郎*; 向井 克之*; 二宮 一朗*
PNC TJ6357 97-001, 40 Pages, 1997/03
ダム廃水に含まれる微量のラジウムを対象として、高選択高性能ラジウム吸着剤の開発を行った。金属担持型の吸着剤数種を調整し、ラジウム吸着性能を比較した結果、従来のTi型吸着剤が最も優れていることが確認された。このためTi型吸着剤の詳細な製造条件の検討を実施した。吸着剤の母体としては、ポーラス型樹脂が廃水の処理速度の面でゲル型樹脂より優れていた。ポーラス型樹脂ベースのTi型吸着剤では、SV40の高流速条件下でも安定したラジウムの除去が可能で、破過容量も7500l/l-R以上であり、従来のゲル型と比べ3倍以上まで増加した。また、Ti型吸着剤を水熱処理することにより、吸着剤の酸安定性が著しく向上することを見出した。この結果、水熱処理した吸着剤の場合、脱離液として希塩酸とアリカリ土類金属塩の混合溶液を使用すると、Tiの溶出が1%以下になりラジウムを選択的に脱離することが可能となった。その他、ラジウムの吸着条件についても検討した結果、無機塩、pH及び通液速度の影響等が明らかとなった。
田中 忠夫; 村岡 進
Radioisotopes, 45(12), p.753 - 760, 1996/12
土壌に吸着した放射性核種の脱離挙動に及ぼす土壌のpH緩衝作用の影響を明らかにするため、Coを予め吸着させた海岸砂と、pHを4、7あるいは10に調節した水溶液とを接触させるバッチ法脱離実験を実施した。水溶液のpHが高くなる方向に変動するに従って、Coの脱離率は低下するが、非陽イオン性Co化学種の存在割合は増加することが確認された。水溶液のpHとCoの脱離率との関係は、砂表面の負電荷密度のpH依存性から理解できた。水溶液中に存在する非陽イオン性Co化学種は、砂の緩衝pHでのCoの加水分解により形成されるコロイド状の{Co(OH)}であることを示した。
香西 直文; 大貫 敏彦; 松本 潤子; 馬場 恒孝; 伊藤 禎元*
Radiochimica Acta, 75(3), p.149 - 158, 1996/00
ネプツニウムのスメクタイトへの特異吸着(1M KClでは脱離不可能な強い吸着をいう)について、pH2から5の範囲でバッチ式の吸着実験と脱離実験を組み合わせて検討した。スメクタイトに特異吸着したネプツニウムの量は、溶液のpHと交換性陽イオンのスメクタイトに対する親和性の両方に依存した。pHあるいは交換性陽イオンの親和性が低いほどネプツニウムの特異吸量は大きくなった。低pHでのネプツニウムのスメクタイトへの吸着形態は、時間とともに変化した。低pHで吸着したネプツニウムは、実験開始から1日以内ではほとんどが1M KClで脱離可能であった。時間の経過とともにKClで脱離できなくなり、5日以降ではネプツニウムの大部分がKClで脱離不可能になった。このような実験結果に基づき、ネプツニウムのスメクタイトへの特異吸着メカニズムについて検討した。
高島 教一郎; 樋田 行雄
分析化学, 43, p.489 - 494, 1994/00
ジルコニウム及びジルコニウム合金試料中に含まれる微量カドミウムを陽イオン交換樹脂を用いて分離した後、黒鉛炉原子吸光法で定量する方法を確立した。この方法をジルカロイ分析用標準試料及び核燃料被覆管材などに適用し、これまで以下表示されていたカドミウムの実存量を明らかにした。また、本法の定量下限を決めているのは使用する水、試薬などのブランク値のばらつきであることが分った。本法の相対標準偏差は1ngCd/mlレベルで約6%であり、実試料中のカドミウム含有率は10ng/g以下であった。
香西 直文; 大貫 敏彦; 村岡 進
日本原子力学会誌, 36(10), p.955 - 957, 1994/00
被引用回数:2 パーセンタイル:28.05(Nuclear Science & Technology)高レベル放射性廃棄物及びTRU廃棄物の地層処分において安全評価上重要な核種であるNpは、Na型スメクタイトに対し低いpH溶液中で特異吸着し吸着量が増加することをこれまでに明らかにした。一方、ベントナイトではその様な吸着量の増加は報告されていない。この違いについて、ベントナイトに含まれるカルシウムに着目して検討した。カルシウムイオンが存在するとスメクタイトへのネプツニウムの吸着量が少なくなり、それは特に低pH溶液で著しくなった。カルシウムイオンはスメクタイト層間に吸着しやすいといわれていることからも、カルシウムイオンはネプツニウムのスメクタイト層間への侵入を防げる働きが大きいといえる。
大貫 敏彦
Radiochimica Acta, 64, p.237 - 245, 1994/00
砂質土壌及び土壌成分へのストロンチウムの吸着特性を吸着・脱離実験により検討した。その結果、土壌成分への吸着特性に基づいた砂質土壌への吸着特性予測は、実測特性と一致しなかった。このことは、可成性による直接予測ができないことを示している。一方、土壌成分及び砂質土壌の陽イオン交換容量を用いて補正した場合、可成性により予測した特性は実測値と一致した。このことから、砂質土壌への吸着においては陽イオン交換容量は重要な因子である。
平出 哲也; O.E.Mogensen*
J. Phys. (Les Ulis),Colloq., 3(C4), p.127 - 130, 1993/09
ポジトロンの寿命スペクトルは今まで3成分(p-Ps,130ピコ秒、フリーポジトロン400ピコ秒、o-Ps1~10ナノ秒)の解析が行われるのが普通であった。最近、我々は4成分目(短寿命オルソ-Ps)のCClの添加による効果からこの第4成分の消滅メカニズムのモデルを提唱した。このモデルを用い、他の電子捕捉剤(CS、CF、SF)のヘキサンへの添加およびホール捕捉剤(ピリジン)のヘキサン、シクロヘキサンへの添加の効果を説明出来ることを示した。
武部 愼一; 向井 雅之; 古宮 友和; 神山 秀雄
JAERI-M 93-034, 15 Pages, 1993/02
未攪乱状態の通気層土壌試料を用いて、Co,Sr及びCsで汚染した土壌から脱離した放射性核種の大型カラム試験において、前報に続いて低吸着領域における核種移行挙動について、地下水流下をトリチウムの破過開始直後までにとどめることにより調べ、土壌中の核種濃度分布及び流出液濃度分布の時間変化の結果を総合して解析を行った。その結果、この程度の流量では、Sr及びCsは深部への移行は認められず、Coについてのみ低吸着領域の移行が認められ、その濃度分布にはピークが見出された。この低吸着領域におけるCoの移行挙動について、吸着及び脱着反応速度定数を考慮した非定常の取扱において、最大吸着容量を導入したモデルを用いることにより、核種の流出液中濃度及び土壌中分布を統一的に説明することができた。解析結果から、染層層におけるCoの移行し易い化学形の初期割合は、0.1%程度と推定された。
武部 愼一; 向井 雅之; 古宮 友和; 神山 秀雄
JAERI-M 92-205, 19 Pages, 1993/01
未攪乱状態で採取した4種類の土壌試料を用いて、Co,Sr及びCsで汚染した土壌から脱離した放射性核種の大型カラムによる移行試験を行った。Coについては、カラム上部の高濃度吸着部分の下部に広い範囲にわたり平担な低濃度吸着領域が見出され、また、流出液中にも低濃度検出され、特徴的な濃度の時間変化が観測された。通気層土壌中の低吸着領域におけるCoの移行挙動について、非陽イオン性化学種の吸着及び脱離反応速度を考慮した核種移行モデルによる解析を試み、これらの試験結果をかなりよく説明することができた。
安達 武雄; 吉田 秀世*; 井澤 君江; 木原 壮林; 橋谷 博
分析化学, 33(1), p.11 - 15, 1984/00
フッ化水素酸ーホウ酸溶液の特性(フッ化物イオン濃度の低減化と緩衝効果)を利用してジルコニウム、ジルカロイ中のこん跡ウラン定量のための陽イオン交換分離法を開発した。確立した方法によると。0.5~10ppm(規格:3.5ppm以下)のウランを相対標準偏差10~5%で定量できる。鉄、スズ、クロム、ニッケルおよびジルカロイ中に通常存在する金属元素の妨害はない。原研で作製したジルカロイ標準試料の表示値決定の分析に用いた。
安達 武雄; 吉田 秀世*; 井澤 君江; 橋谷 博
分析化学, 33(9), p.455 - 459, 1984/00
フッ化水素酸容器中ではフッ化物錯陰イオンを形成するチタン、アルミニウムもフッ化水素酸ーホウ酸液中では、フッ化物イオン濃度の低減のため、陽イオン種を形成する。この系のフッ化物イオン濃度はフルオロホウ酸の隔離で常に一定に保たれる。これらを利用し、陽イオン交換法で多量ジルコニウムを分離し、逐次溶離したこん跡チタン,アルミニウムをそれぞれ吸光光度法で定量する方法を確立した。ジルコニウム、ジルカロイ中の3ppm以上のチタン、2ppm以上のアルミニウムの定量に適用できる。この方法により、新しいジルカロイ標準試料の表示値を決定した。
木内 清; 近藤 達男
日本金属学会誌, 47(6), p.494 - 501, 1983/00
プラズマと接する核融合炉第一壁構造材料は、プラズマのエネルギー損失を少なくする為に、出来る限り表面からの粒子の放出を抑える事が必要である。粒子の放出にはいくつかの過程があるが最も重要なものは、スパッタリングである。純金属の物理スパッタリングは、よく研究されているが、酸化の影響を考慮したこの種の研究は比較的小ない。本報では、いくつかの条件で予備酸化したMo表面についてアルゴンイオンによるスパッタリングを行い、2次陽イオンの示性定量分析法を用いて酸化の影響を調べた。この結果、金属およびMoO表面のスパッタリングは、ほぼ物理スパッタリングのモデルから想定される傾向を示すが、MoO表面では、スパッタリング収率が一次イオン密度や時間に依存して変化し、見かけ上2ケタ以上異なる2つのスパッタリング収率を示した。これはMoOが気性酸化物であるため、スパッタリング速度により(MoO)n型の結合の弱い吸着層とMoO固相の2つの表面状態をとるためと分った。
松鶴 秀夫; 歳国 正美*; 山中 彰宏*; 森山 昇
JAERI-M 82-087, 19 Pages, 1982/07
粉末状陽イオン交換樹脂(PCH)のFe(II)を触媒とした過酸化水素による酸化分解を流通式の反応装置を用いて検討した。触媒の最適濃度は0.03M付近であり、これ以上の濃度では末溶解のPCHの残留量が増加する。一方、溶解した分解生成物の残留量は触媒濃度の増加に伴って減少する。過酸化水素の添加量を増加させるほどPCHの分解率は増加するが、理論添加量の1.8倍以上に増加させても分解率は顕著に増加せず、この程度の添加量で十分である事がわかった。この時の反応容器出口での分解率は約99%であった。
安達 武雄
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 55(3), p.802 - 808, 1982/00
被引用回数:13 パーセンタイル:66.08(Chemistry, Multidisciplinary)フッ化水素酸-ホウ酸系の陽イオン交換法により、フッ化物錯体を生成する金属イオンの新しい分離法を開発した。フッ化水素酸にホウ酸を加えることにより解離フッ素イオン濃度を約1/100に低減化できる。この低減化によって、金属-フッ化物錯体を分離に好都合な化学種にコントロールできる。またホウフッ酸はフッ素イオン濃度に関する緩衝作用を持っているので、溶液中のフッ素イオン濃度は低いにもかかわらず、金属イオン濃度の増加によって分配係数は変らない。18元素の陽イオン交換樹脂に対する分配係数をHF溶液とHF-HBO溶液中で求めた。HF-HBO溶液を用いることにより、Zr,Ti,Al,Uのような金属イオンを分離することができる。